国政選挙に出馬するには300万円または600万円の供託金と、選挙運動費用として1,000万円〜数千万円の資金が必要になるといわれています。
では、地方選挙の場合はどうなのでしょうか。2023年4月には統一地方選挙が実施されるとみられています。
本記事では地方選挙に出馬するのにかかる費用の目安について解説します。
選挙運動費用の集め方についても解説していますので、地方議会議員選挙への出馬を検討している方は参考にしてください。
国政選挙の出馬にかかる費用については「選挙にかかる費用はいくら?立候補にかかる金額や公費負担について解説」で解説しています。
地方選挙の出馬費用の目安と内訳
地方選挙に出馬する際に必要な費用の目安と、内訳について解説します。
初出馬だと200〜300万円が目安
地方選挙に出馬する際にかかる費用の目安は、初挑戦の場合200〜300万円くらいといわれています。
選挙の種類や有権者数などによって選挙にかかる費用は大きく変わりますが、地方選挙で初挑戦の場合ですと200万円から300万円ぐらいです。
選挙の種類や有権者数などによって出馬にかかる費用は異なります。
一般的には当選に必要な票数が多くなるほど、かかる費用も大きくなると考えるとよいでしょう。
費用の内訳
地方選挙に出馬するには、およそ200〜300万円が必要になることが分かりましたが、内訳はどのようになっているのでしょうか。
まず、選挙に立候補するためには供託金が必要になります。
選挙の種類ごとの供託金は以下の通りです。
- 都道府県知事選挙:300万円
- 市長選挙(政令指定都市):240万円
- 市区長選挙:100万円
- 町村長選挙:50万円
- 都道府県議会議員選挙:60万円
- 市議会議員選挙(政令指定都市):50万円
- 市区議会議員選挙:30万円
- 町村議会議員選挙:15万円
この他の選挙の供託金や、供託金の歴史などは「世界と日本の供託金ランキング‐供託金とはわかりやすく解説‐」で解説しています。
供託金の他、以下のような選挙運動費用がかかります(一部公費負担制度あり)。
- 人件費:ウグイス嬢や事務員などに支払う報酬
- 家屋費:選挙事務所の賃料など
- 通信費:電話やインターネット通信費、電報、郵便の費用
- 交通費:選挙運動員などの交通費
- 印刷費:ポスターやビラ、ハガキなどの印刷費用
- 広告費:選挙事務所や選挙カーの看板、新聞広告などの費用
- 文具費:文房具類の消耗品
- 食糧費:選挙運動員に配る弁当や事務所の茶菓子などの費用
- 休泊費:選挙運動員などの宿泊費用
- 雑費:事務所の光熱費や新聞代など
これら選挙にかかった費用は選挙運動費用収支報告書に記載し、管轄の選挙管理委員会に提出しなければなりません。
過去の選挙の選挙運動費用収支報告書を閲覧したい場合は、管轄の選挙管理委員会に問い合わせてみましょう。
選挙運動費用収支報告書は自治体のホームページで公表されていることがあります。候補者によって費用の総額や内訳は異なりますが、出馬する選挙の選挙運動費用収支報告書を見れば、かかる費用の目安を把握できるでしょう。
ただし、他の候補者の費用内訳はあくまで目安です。選挙カーや街頭演説などによる選挙運動を行わず、Webサイトや動画作成、ゴミ拾いなどに力を入れて知名度をあげ、市議会議員に当選した例もあります。
選挙事務所を構えることや選挙カーをレンタルすることはせず、街頭演説なども行いませんでした。はがきをポスターとほぼ同じデザインにすることなどで費用を抑えました。知名度を補うために、WEBサイトや動画作成に力を入れ、街頭演説に代えて、名前が書かれたたすきをかけて、日頃から行っていたゴミ拾いを行いました。
選挙運動費用収支報告書の記入例と作成支援様式は、下記の総務省のホームページからダウンロードできます。
選挙運動費用の集め方
選挙運動に使う資金の集め方について解説します。
選挙運動費用収支報告書の収入の部は、以下の項目に分かれています。
- 主たる寄附
- その他の寄附
- その他の収入
寄附は個人や業界団体、政党、政党の支部などから募ります。自身の後援団体から寄附することもできます。
「その他の収入」とは収入の中から寄附を除いたもので、「自己資金」「借りた金銭」「選挙運動のために物品を売却して得た代金」などが含まれます。
選挙運動費用の収入に関しても、選挙運動費用収支報告書で確認することができます。
政治資金の集め方については「政治資金の集め方とは?寄附・パーティー・交付金など具体的な方法を紹介 」で解説しています。
まとめ
本記事では地方選挙に出馬する際の費用の目安や、選挙運動費用の集め方について解説しました。以下に内容をまとめます。
- 選挙の種類や当選に必要な票数により異なるが、地方選挙に初出馬する際は200〜300万円が必要といわれている
- 供託金のほか、人件費や家屋費、印刷費や広告費がかかる
- 選挙運動に必要な資金は寄附などによって集める
- 寄附は個人や業界団体、政党、政党の支部、自身の後援団体などから集める
- 自己資金を「その他の収入」として選挙運動費にできる
<参考>
衆議院議員選挙に立候補するには費用がいくらかかるのか、選挙とお金のリアルな話(大濱崎卓真) – 個人 – Yahoo!ニュース
選挙運動費用収支報告書記載要領 (sano.lg.jp)
松田馨『地方選挙必勝の手引』