選挙権とは?年齢や住所のルール、参政権の歴史も解説

選挙権とは?年齢や住所のルール、参政権の歴史も解説

私たちは、18歳になると、みんなの代表を選挙で選ぶことのできる権利が与えられます。これが「選挙権」です。

よく聞く言葉ですが、選挙権がある人はどういった人で、ない人はどのような人なのか正確には知らないという方も多いのではないでしょうか。

また、選挙権を持つ人の範囲は、時代の移り変わりとともに変化しています。

どのような背景があったのでしょうか。

本記事では、現在の選挙権のルールや、権利拡大の歴史について解説します。

この記事を監修した人
奥藤裕子
イメージ戦略の構築からトータルプロデュースする選挙コンサルタント。イメージコンサルタントとして培った知識と経験を活かし、数多くの広報ツール制作・政策立案に携わる。政治家の「自己プロデュース力を高めたい」というニーズに応えるべく、今日も現場で奮闘中。

 国政選挙の選挙権を得る条件は「年齢」

現在の日本では、国の代表を選ぶ国政選挙では、満18歳以上※で日本国籍を持っていることが選挙権を得る条件に定められています。

国政選挙とは、衆議院議員総選挙や参議院議員通常選挙といった国会議員を決める選挙のことです。

※「満」とは、産まれた日を0歳として、誕生日になると1歳、2歳、と年齢を重ねる数え方です。現代の社会で「年齢」と言ったときに一般的に使われているものです。

地方選挙の選挙権を得る条件は「年齢」と「住民票がある地域」

地域の代表を選ぶ地方選挙では、満18歳以上の日本国民であることに加えて、その地域に住んでいることが選挙権の条件になります。

「その地域に住んでいる」「住所がある」とは、実際に滞在して生活していたり、住所として使っていたりするだけではなく、自治体に届出をして取得する住民票が必要です。

その上で各自治体の「選挙人名簿」に登録されることで、選挙権を得ることができます。 

地方選挙のうち、都道府県の知事や議会の議員を決める選挙では、3ヶ月以上継続してその都道府県の同じ市区町村に住所があること、または、3ヶ月以上継続してその都道府県の同じ市区町村に住所があったことがあり、その後も引き続いてその都道府県内に住所があることが選挙権の条件です。

以下に例を挙げます。

A県の県知事選の投票日時点で、

  1. A県B市に1年住んでいる場合
  2. A県C町に6ヶ月住んでいた後、A県B市に引っ越して1ヶ月しか経っていない場合

1、2いずれの場合でも、投票することができます。

地方選挙のうち、市区町村の首長(市長や町長など)や議員を決める選挙では、満18歳以上の日本国民であることに加えて、3ヶ月以上継続してその市区町村に住所があることが条件です。

先ほどの例で言うと、B市の市議選の投票日時点で、1の場合は投票できますが、2の場合はできません。

選挙権がなくなる場合

年齢や住所の条件を満たしているのに、選挙権がなくなることはあるのでしょうか。

犯罪をしたとして裁判を受け、禁錮(刑事施設に入るが、懲役刑と異なり、労役作業をしなくてもよい刑)以上の刑になった場合は、その刑が終わるまで間は選挙権を失います。

刑務所の中にいる間は投票ができない、というイメージです。

執行猶予(ある一定期間、刑の執行を猶予し、その期間中に再度犯罪を犯さなければその刑は消滅するという制度)の期間中は選挙権を失いません。

さらに、「公職選挙法」や「政治資金規正法」などの政治や選挙に関わる法律で定めた犯罪をしたとして刑に処された場合は、刑を受け終わっても5年ないし10年間は、選挙権が停止されます。 

参政権や被選挙権、投票権とは?

ここまで選挙権のルールについて説明してきましたが、他にもよく耳にする参政権や被選挙権、投票権との違いについても、見ていきましょう。 

参政権とは、政治に参加する権利のことを言います。

参政権には、選挙権と被選挙権があります。

被選挙権とは、選挙に立候補し当選したら、人々の代表として首長や議員に就くことができる権利です。

被選挙権を得るには、日本国民であることに加え、就く立場ごとの年齢制限があります。

たとえば、参議院議員は満30歳以上であること、市区町村の議員は満25歳以上であることに加え、その市区町村の議会議員選挙における選挙権があることが被選挙権の条件です。

また、「選挙権がなくなる場合」に当てはまった場合、同時に被選挙権も失ってしまいます。

投票権とは一般的に、日本国憲法の改正を問う国民投票や、地方自治体の政策などを問う住民投票で投票する権利のことを指します。

選挙権年齢が18歳以上になったのは2016年から

「年齢や住んでいる地域が条件」で述べたように、現在は国政、地方選挙どちらでも、満18歳になると選挙権を得ます。

これはつい最近、2016年(平成28年)の選挙からのことで、それ以前は長い間、投票できるのは満20歳以上でした。

どのような理由でこのような変更があったのでしょうか。

また、満18歳以上が有権者となったことで、どのような変化があったのでしょうか。 

選挙権年齢引き下げの経緯と理由

2015年(平成27年)6月に国会で、選挙についてのルールを定めた法律である公職選挙法の一部改正が決まりました。

それによって、選挙権の年齢条件はそれまでの満20歳以上から、満18歳以上になりました。

そして、改正公職選挙法が施行(法律が実際に効果をもち適用されること)された2016年6月の選挙から、満18歳以上が投票できるようになりました。 

選挙権年齢が引き下げられた理由は、主に2つあります。

1つは、日本の未来を担う若い世代にもっと政治に興味を持ち、政治に参加してもらうため、もう1つは、海外では18歳以上に選挙権を認めている国が多く、世界の傾向に合わせようという理由からです。

2014年に行われた国立国会図書館の調査では、世界の国や地域のうち、9割近くが選挙権を18歳以上としていることが分かりました。

選挙権年齢引き下げによる変化

選挙権年齢が満18歳以上になったことで、新しい取り組みや社会的な変化がありました。

具体的には、まさに18歳を迎えるタイミングである高校生に向けて、学校の授業や教科書などにおける選挙や参政権についての学習が、それまで以上に手厚くなったことが象徴的でしょう。

また、大学や高校の敷地内など、学生が立ち寄りやすい場所に期日前投票所を設置する取り組みも多くみられるようになりました。

しかし国の調査によると、2017年(平成29年)に行われた衆議院議員総選挙では、全体の投票率が53.68%だったのに対し、10代は40.49%、20代は33.85%。

全世代の投票率に比べ若者の投票率は低調でした。

参政権拡大の歴史

選挙権年齢の引き下げは、なんと70年ぶりのことでした。

日本初の選挙が行われた明治時代には、選挙権には性別や納税額による制限があり、有権者は人口のわずか約1%にすぎませんでした。

その後、平等な権利を求める世の中の声を受け、選挙権を持つ人の範囲は徐々に拡大されてきました。

具体的にはどのように変わっていったのでしょうか。3段階で紹介します。

1段階:男性のみ、財産のある人だけの制限選挙

日本で初めての選挙として実施された1890年(明治23年)の第1回衆議院議員選挙では、選挙権が与えられたのは満25歳以上の男性で、直接国税を15円以上納めている人だけでした。

15円は、現在の貨幣価値でいうと60〜70万円くらいと考えられます。

つまり、年齢の制限だけでなく、女性や、男性でも一定以上の財産がない人は、選挙で投票して政治に参加する権利を与えられていなかったのです。

このように、性別や身分、財産の違いで選挙権や被選挙権を制限する選挙を「制限選挙」と呼びます。

一方、性別や身分、財産の制限のない選挙が「普通選挙」です。

2段階:男性による一部普通選挙へ

財産によって参政権を制限し、ごく一部の人の意見だけが政治に反映されるような制限選挙に対して、たくさんの批判がありました。

納税による制限の基準額は徐々に下がり、1925年(大正14年)には財産による制限がなくなり、満25歳以上のすべての男性が選挙権を持つことができるようになりました。

有権者は当時の人口の約20%でした。

3段階:戦後、女性の選挙権獲得で普通選挙に

財産による制限がなくなった後も、女性に参政権がないのはおかしい、という声は上がり続けました。

選挙権獲得を目指す、女性が中心となった市民活動も盛んに行われました。

そして太平洋戦争後の1945年(昭和20年)に衆議院議員選挙法が改正され、翌年に行われた選挙から、満20歳以上の男女に平等に選挙権が与えられることに。

有権者は、人口の約48%に上りました。

同時に女性が被選挙権も得たことで、初めての女性議員が誕生。

そして、2015年の法改正による70年ぶりの選挙権年齢引き下げでは、人口の約84%が有権者となりました。

選挙権のルールや歴史を知ろう

自分たちの暮らす国や地域のあり方を決める参政権のうち、とても重要で身近な選挙権。

本記事では、選挙権やルール、現在の普通選挙に至るまでの参政権拡大の歴史について解説してきました。

選挙権のルールや歴史を知ることで、自分が持つ1票の意味や重みを感じられるのではないでしょうか。

 

<参考文献>

総務省HP なるほど!選挙

総務省・文部科学省作成 高校生向け副教材「私たちが拓く日本の未来」(PDF)

山口県選挙管理委員会 センキョこどもサイト

東京都選挙管理委員会事務局 選挙Q&A(投票)

川崎市HP 日本の選挙権拡大の歴史

福岡県小郡市 広報おごおり

NHK 選挙WEB

内閣府男女共同参画局

『政治・経済用語集 第2版』山川出版社、2019

『判例六法 令和3年版』有斐閣、2020(憲法、刑法、地方自治法)

 

この記事を書いた人
rainy

大学の政治学科を卒業後、報道機関で記者をしていました。主に社会部で裁判、司法を担当。選挙取材も経験しました。退職後の現在はフリーランスライターとして働く1児の母です。
「社会の仕組みや動きを知ること・理解することで、新しい世界が広がる」、読者にとってそんな記事を書けるよう、日々精進していきます。

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