憲法改正とは?手続きや論点をわかりやすく解説

憲法改正とは?手続きや論点をわかりやすく解説

2022年の参院選では、憲法改正が争点の1つとして注目を集めました。

新型コロナウイルス感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻といった社会問題を受け、憲法改正の議論は活発化しています。

しかし、憲法改正に必要な手続きや具体的な論点を理解しきれていないという方も多いでしょう。

この記事では、憲法改正の手続きや論点をわかりやすく解説します。

憲法改正は日本でまだされていない

日本国憲法は、1947年に施行されてから現在(2022年)に至るまで一度も改正されたことがありません。

日本国憲法が改正されたことがない理由には、改正手続きにおけるハードルの高さが挙げられます。

また、日本国憲法の規定の多くは具体的な定めを法律に委ねており、制度などを変更する際は、憲法を改正せずとも法律改正で対応できる場合が多いことも理由の1つです。

憲法改正の手続き

憲法改正には、国会での発議後、国民の承認が必要となります。

国会での発議

以下のいずれかの方法で憲法改正原案が国会に提出されます。

  • 議員提出 ⇒ 国会議員が原案を提出(衆議院に提出する場合100人以上、参議院に提出する場合50人以上の議員の賛同が必要)
  • 憲法審査会 ⇒ 衆議院と参議院それぞれ設けられた憲法審査会が国会に提出

提出された原案は、衆参両院において、憲法審査会での審査を経た後、本会議にかけられます。

  • 憲法審査会での審査 ⇒ 出席委員の過半数の賛成で可決
  • 本会議での審議 ⇒ 総議員の3分の2以上の賛成で可決

両院の本会議で可決されると「憲法改正案」となり、国会が憲法改正の発議を実施します。

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国民投票

国民投票では、満18歳以上の日本国民に投票権が与えられ、憲法改正案ごとに一人一票投票できます。

改正案に対する賛成が投票総数の過半数の場合には、国民から承認されたことになります。

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憲法改正の主な論点

ここでは、憲法改正の主な論点を3つ紹介します。

自衛隊の明記

憲法第9条は、「戦争の放棄」「戦力不保持」「交戦権の否定」の3つを掲げています。

自衛隊の存在は、9条で定めるところの「戦力不保持」に反するのではないかという見解が長らく議論されてきました。

国際情勢の悪化や災害の増加など、自衛隊の存在意義が大きくなる中で、違憲論が残る状態を是正するために、自衛隊を憲法に明記するが議論されています。

一方、平和主義国家として築き上げた信頼の失墜や、他国の戦争への派遣要請の可能性など、自衛隊を明記することに対する懸念の声もあります。

緊急事態条項の導入

緊急事態条項とは、戦争・恐慌・大規模災害といった緊急事態において、政府権限の一時強化など、平時とは異なる仕組みを定めた規定です。

衆議院憲法審査会事務局が作成した『「緊急事態」等に関する資料』によると、広義のものを含め、世界の憲法の93.2%には緊急事態条項が明記されています。(H25年時点)

新型コロナウイルス感染拡大やロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本でも憲法に緊急事態条項を導入すべきという議論が多く取り上げられるようになりました。

ただし、緊急事態条項が重大な人権侵害につながるリスクや、現行法でも緊急事態に十分対応可能であることを主張し、導入に反対する人々もいます。

憲法改正手続きの見直し

憲法改正の手続きは憲法第96条で規定されており、その規定は厳格であるといわれています。

とくに、国会での発議において、総議員の3分の2以上の賛成を必要とすることに対しては、憲法に関して民意を反映する機会の損失につながるという意見があります。

そこで議論されているのが国会での発議要件の緩和です。

具体的には、現行の3分の2以上の賛成から過半数の賛成へ緩和する改正草案が自民党から発表されました。

反対派の主張としては、改正が容易になると、憲法の安定性を損なうことや国家権力の暴走につながることなどが挙げられます。

まとめ

この記事では、憲法改正の手続きや論点を解説しました。

  • 日本国憲法は、施行以来一度も改正されたことがない
  • 憲法改正には、衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする
  • 憲法改正の論点には、自衛隊の明記や緊急事態条項の導入、憲法改正手続きの見直しなどがある

 

<参考>

政府広報オンライン | 「国民投票法」って何だろう?
NHK みんなとわたしの憲法 | 憲法改正する場合の手続きは?
衆議院憲法審査会事務局 | 「緊急事態」等に関する資料
読売新聞オンライン | 憲法改正 現実を踏まえて議論深めよ

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